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車を購入した後、様々な事情でローンの返済が困難になる状況は誰にでも起こり得ます。もし返済が滞ってしまった場合、利用している自動車ローンの種類によって、その後の展開が大きく異なります。
この記事では、自動車ローンの特徴と、返済が困難になった場合の具体的なリスクや対処法について解説します。
自動車ローンは、大きく分けると銀行や信用金庫が提供するものと、自動車ディーラーが提携する信販会社が扱うものがあります。
銀行系のローンは金利が比較的低い傾向にありますが、審査に時間がかかる点が特徴です。銀行系ローンだと、契約と同時に車の所有者が購入者になります。
ディーラーローンは、審査が迅速で手続きが簡単な反面、金利は高めに設定されていることが多いです。
ディーラーローン(残価設定型クレジットを含む)では、ローンを完済するまで車の所有権を信販会社やディーラーが保持する「所有権留保」という仕組みが一般的です。車検証の所有者欄が信販会社名義になっているのはこのためで、利用者(購入者)はあくまで「使用者」として登録されます。「車の本当の所有者が誰か」という点が、万が一返済が滞った場合に決定的な違いを生みます。
所有権留保が設定されているディーラーローンで返済が滞ると、まず電話や郵便による督促が始まり、通常の金利とは別に、高い利率(年利14%〜20%程度)の遅延損害金が発生します。滞納が2〜3ヶ月程度続くと、その事実が信用情報機関に事故情報として記録され(いわゆるブラックリスト化)、ローン残高全額の一括返済を求められるのが一般的です。この段階でも返済ができない場合、事態はさらに深刻化します。
最終的に、車の所有権を持つ信販会社は、裁判所を介さずとも所有者としての権利に基づき、車を法的に引き上げることが可能です。引き上げられた車は売却され、その代金がローン残債の返済に充てられますが、売却額が残債に満たない場合、その差額分は借金として残り、引き続き支払いを求められます。
銀行系のローンのように最初から車の所有者が自分自身になっている場合は、返済が滞っても直ちに車が引き上げられることはありません。とはいえ、督促や遅延損害金の発生、信用情報への記録、一括返済請求といった流れはディーラーローンと同様に起こり得ます。所有権が自分にあるからといって、安心はできません。
一括請求に応じられない場合、貸し手である銀行は裁判所を通じた法的手続きに移ります。具体的には、訴訟を起こして判決を得た上で、給与や預金口座、そして車を含む購入者の財産を強制的に差し押さえることになります。車を即座に引き上げられない代わりに、最終的には裁判所の手続きを経て給与や預金口座、車などの財産が差し押さえられるリスクに変わりはありません。
ローンの返済が苦しいと感じたら、あるいは滞納しそうな時点で、放置は厳禁です。滞納が発生する前に、ローンを組んだ金融機関や信販会社の相談窓口へ正直に事情を説明し、連絡が重要です。返済が困難であることを早期に伝えれば、返済期間の延長(リスケジュール)など、返済条件の変更(緩和)に応じてくれる可能性があります。
自力での交渉が難しい場合や、自動車ローン以外にも借金があり返済の目処が立たない場合は、弁護士などの専門家への相談も検討すべきです。専門家は、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産など)といった法的手続きを通じて、法的な観点から生活再建の方法を探ってくれます。早めの相談が、状況の悪化を防ぐ鍵となります。
自動車ローンの返済が困難になった場合、特にディーラーローンの「所有権留保」は、車を失うリスクに直結する重要な仕組みです。銀行系ローンであっても、最終的には裁判所を通じて財産が差し押さえられる可能性があります。どのようなローンであっても、問題が深刻化する前に貸し手や専門家へ相談することが、解決への確実な第一歩です。