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過払い金返還請求後は住宅ローンは組める?

家を取得する際にローンを組みたいが、過去の借金に対する過払い金請求も考えている、という方もいることでしょう。そこでこの記事では、過払い金返還請求とその後の住宅ローンについてまとめました。

過払い金返還請求と住宅ローン

過払い金返還請求を行った後に住宅ローンを組めるかどうかという点については、どのタイミングで請求を行うか、という点がポイントになってきます。そこで、どのタイミングで過払い金返還請求を行うとその後の住宅ローンに影響するのか、もしくは影響しないのか、といった点について見ていくことにしましょう。

借金返済後に過払い金返還請求を行う場合

借金を完済した後に過払い金返還請求を行うケースについては、請求後に組む住宅ローンに影響することはありません。ただし、過払金の請求先と住宅ローンを組む会社が同一、または同じ系列の会社ではないかどうか、という点に注意する必要があります。

以前は完済後の過払い金返還請求を行うケースでも「契約見直し」ということ事故情報として登録されていたため、住宅ローンを組みにくくなるというケースがありました。しかし2010年4月以降は、完済後の過払い金請求について事故情報を登録しないよう金融庁から通達が出たことから現在は事故情報を登録しないということになっています。これは、このケースは支払能力の有無には影響しないことから、信用情報には明記するべきではない、という方針が示されたためです。

このことから借金完済後に過払い金返還請求を行ったとしても、その後住宅ローンを組むことができるということになります。

借金返済中に過払い金返還請求を行う場合

借金を返済している最中に過払い金の返還請求を行う場合には注意が必要となってきます。注目するべきポイントは、残りの借金の額と返還される過払い金の額のどちらが大きいか、という点です。

残りの借金よりも過払金の方が大きい場合

この場合には、借金は返済中であるものの発生した過払い金によって借り入れ先への借金を完済できる、というケースです。借金が残っている状態で過払い金を請求した場合には、その時点で事故情報が一時的に登録される場合もあります。これは、請求した時点で債務整理をしたと捉えられるためですが、残りの借り入れ額よりも過払い金額の方が大きいと判明した時点で通常事故情報は抹消されることになります。

ちなみに、過払い金と残りの借金のどちらの額が大きいかという点については、「引き直し計算」と呼ばれる方法で判断されます。これは、正当な利息に基づいて、負債の残額や払いすぎた利息を算出します。

また、すでに住宅ローンを組んでいる人の場合でも、過払い金返還請求を行ったことでローン契約の見直しを迫られたり、ローンの一括返済を求められたりといったことはありません。

過払金よりも残りの借金の方が多い場合

引き直し計算を行なった結果、過払い金よりも残りの借金額の方が大きい場合に過払い金返還請求を行った場合には、その後に住宅ローンを組もうとしても審査に通らない可能性が高くなります。このように、残りの借金の方が多いケースにおいては過払い金の請求を行った時点で任意整理を行った扱いとなり、事故情報として登録される可能性があるためです。

任意整理を行ったことに関し、事故情報として登録されている期間は完済から5年間といわれていますが、信用情報機関によって異なります。

ローンを組む予定がある場合には相談を

以上のことから、ローンを組みたいと考えている場合には、過払い金請求とローンの審査のどちらかを終わらせてから残りの方の手続きを行う必要があるといえるでしょう。過払い金返還請求をしたいと考えているものの今後の住宅ローンを組む予定がある、という方の場合にはまず弁護士や司法書士に相談をしてみると良いでしょう。