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このページでは、連帯保証人がついている債務がある場合の個人再生についてまとめています。連帯保証人にはどのような影響が発生するのかを見ていきましょう。
連帯保証人付きの債務がある場合に個人再生手続きを行うと、連帯保証人には大きな影響を与えることになります。
借金をした本人が個人再生の手続きを行った場合、債権者は連帯保証人に対して借金を一括返済を請求します。これは、借金をした本人が「期限の利益」を喪失したことによるもの。期限の利益とは、弁済期限が定められていることによって、期限の到来までは弁済せずとも良い、という債務者の利益を指しています。
この期限の利益があるため、債務者は毎月しっかりと弁済することで一括請求されることがありません。このように、借金をした本人が期限の利益を喪失したことにより、債権者は連帯保証人に債務の残りを一括請求できるようになります。
借金した本人の個人再生手続により、連帯保証人には借金の残りの一括請求が行くことになります。しかし、連帯保証人はこの請求を拒むことができません。連帯保証人とは借金をした本人が返済できなくなった場合に備えてつけているもの。そのため、そもそも債権者からの請求を拒むことができないのです。
請求金額によっては、一括で返済することが難しいケースもあります。例えば残債務が数十万ほどということであれば、人によってはお金を工面して支払うことが可能な場合もあるでしょう。しかし、それ以上の残債務だった場合、例えば数百万・数千万の金額となった場合には、一括での返済が難しいということになることが多いと予想されます。
この場合には、連帯保証人は分割返済ができるかどうかを債権者に対して交渉し、現実的な分割返済額を取り決めて行くこといなります。この時に返済額がどれくらいになるのかは、債権者との交渉次第となります。例えば、もともと借金をした本人が毎月返済していた額を基準として交渉する、という方法もあるのではないでしょうか。
また、連帯保証人も借金の返済が難しいというケースもあるでしょう。その場合には、その人にあった方法での債務整理を検討しなければならなくなる可能性もあります。
この場合に考えられる債務整理としては、任意整理や特定調停、個人再生、自己破産の4つの方法があります。それぞれのケースによって、どの方法を選択するのが良いか分かれます。
例えば、残債務の額があまり大きくなく、さらに連帯保証人にもそれなりの返済能力がある場合には任意整理を、また借金額が大きすぎて連帯保証人も支払うことができない場合には、個人再生または自己破産を行うことになります。個人再生の場合は保証債務を含め大きく減額でき、連帯保証人が自宅などの財産を失うことを避けられます。対して自己破産を行った場合には、債務の支払い義務はなくなるものの基本的な財産が全てなくなるというデメリットがあります。
以上のことから、連帯保証人も支払いが難しい場合、どのような対応をとるべきか慎重に考える必要があるといえるでしょう。
以上のように、連帯保証人がついている借金の場合には、迷惑をかけたくないからといって連帯保証人がついている借金だけを先に返してしまおうと考えるのではないでしょうか。ただし、このように特定の借金だけ返済することを「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と呼びます。これは「偏った返済」という意味です。
この偏頗弁済をしてしまった場合には、最悪の場合個人再生手続きが認められないケースがありますので、こういった考え方は避けましょう。さらに、偏頗弁済をしてしまったことによって、個人再生手続きの中で返済額が上乗せされる可能性もありますので注意が必要です。
ここまで、連帯保証人がついている場合の個人再生について説明をしてきました。いずれにしろ、連帯保証人がついているケースで個人再生の手続きをした場合、連帯保証人への影響は避けられません。このことから、保証人がついている債務があり、かつ個人再生を利用しようとしている場合には、保証人への影響が最小限で済むようにする工夫が必要になるといえるでしょう。