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このページでは、特定調停を行うための条件について紹介しています。加えて、調停を成立させるための条件についてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
特定調停とは、借金の問題に特化した裁判手続きであることから、誰もが利用できるわけではありません。利用をするためには、下記の2つの要件を満たす必要があります。
ここで出てくる「特定債務者」とは、特定調停法2条1項によると、「金銭債務を負っている者であって,支払不能に陥るおそれのあるもの若しくは事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難であるもの又は債務超過に陥るおそれのある法人をいう」と定義されています。
参照:e-Govポータル(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC1000000158)
また、2つ目の要件についてですが、特定調停を行うためには「特定調停手続きにより調停を行うことを求める旨の申述をする」と定められています。これは、裁判所に特定調停申立書に必要事項を記入して提出します。
それではここで、1つ目の要件である「特定債務者」に話を戻して詳しく見ていきましょう。特定債務者の要件とは、下記のようなものがあります。
「債務者」といった場合、何らかの債務を負っている人のことをさします。しかし、ここで出てくる「特定債務者」とは金銭債務を負っている人を指します。この金銭債務には借金が含まれることはもちろんですが、買掛金も含まれています。簡単にいうと「お金を支払う義務を持っている人」ということになります。
個人の場合は、自分自身の収入では金銭債務の弁済ができないといった状態になる恐れがある場合に該当します。この点については、将来的に支払不能に陥る可能性があるケースでも該当します。
また、個人事業主や法人の場合にも利用することができます。事業を続ける上で重要な財産を売却しないと金銭債務を弁済できない場合や、負債が資産を上回っているといったケースにも適用されることになります。
また、特定調停を利用する場合には、あらかじめ調停が成立する条件について知っておきましょう。上記に挙げた特定債務者の要件を満たしていたとしても、調停成立の条件を満たしていない場合には、特定調停を断念しなければならないためです。下記の条件を満たす必要があります。
調停成立のためには、実現可能な返済計画を立てることが必要です。特定調停を行った後の残りの債務が継続的に返済できるかどうか、自分の収入と照らし合わせながら十分に検討しましょう。これは、返済計画に無理があると判断されれば、特定調停申し立ての取り下げを調停委員からすすめられるためです。3年で完済できる見込みがあることが、調停成立の条件となります。
特に、特定調停を行った場合には多くの場合大幅な債務の減額は期待できないという点は念頭においておきましょう。基本的には、将来利息のカットに加えて返済計画の見直しを行うことで債務整理を行います。そのため、元本は全て支払うことになります。
このように、自己破産や個人再生とは減額できる幅に差がある、という点をあらかじめ理解しておくことも必要です。
参照:特定調停 | 山口・防府市で弁護士をお探しなら[弁護士法人いたむら法律事務所](https://www.itamura-law.com/debt/page-431/)
特定調停を行う場合には、申立書をはじめさまざまな書類を裁判所に提出します。必要な書類を準備するのにはある程度時間がかかりますので、こういった作業ができる、また必要なときに出廷が可能であることが調停成立の条件となります。
ただし、手続きに関しては弁護士に依頼することもできます。費用はかかるものの手間のかかる書類作成などをおまかせできますので、負担を減らすことができます。
また、特定調停を行う場合には月1回、平日に2〜3回程度出廷することになります。このことから、平日でも出廷できる状況であることが条件となります。
特定調停を行える条件、また調停が成立する条件について紹介してきました。自分が特定債務者に該当しているかどうかについては、弁護士や司法書士に判断してもらうことがおすすめといえるでしょう。特定調停の手続きは手間もかかりますし、何より精神的に負担を感じることもあるかもしれませんので、信頼できる事務所に相談してみると良いでしょう。