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このページでは、「特定調停を行った後には住宅ローンを組めるか?」という疑問にお答えしています。また、合わせて知っておきたい特定調停のメリットやデメリットについてまとめました。
そもそも特定調停とは?特定調停を行うための条件を知っていますか?
特定調停を行うと、信用情報に事故情報が登録されます。このことから、住宅ローンは一定期間組めなくなります。そのほか、住宅ローンや自動車のローンも組めないことに加えて、クレジット契約なども不可となります。住宅ローンが組めない期間は通常5~7年程度と考えておくと良いでしょう。
「信用情報機関に事故情報として登録される=ブラックリスト入りする」です。
このように、特定調停を行った場合にはメリットがある反面さまざまなデメリットがあります。特定調停を行う場合には、これらをよく考えた上で実際に利用するかどうかを検討する必要があるでしょう。そこで、特定調停のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
まずは特定調停のメリットについて紹介します。
特定調停の申立に必要な書類は、簡易裁判所に備え付けられていることが多いため簡単に手に入ります。また、記載内容もあまり難しくありませんし、費用も裁判所への申立費用のみとなっています。また、複数の業者についてまとめての申立が可能となっています。
特定調停の申立を行うと、これまで行われてきた貸金業者からの取り立てがストップします。さらに、特定調停手続き中は支払いが一時的にストップしますし、給与の差し押さえなどの強制執行を停止させられるケースもあります。
債務の中には住宅ローンや自動車のローンが含まれている場合もあるでしょう。この場合、住宅ローン、車のローンなどを債務整理の対象から外せるため、家や車を手放さなくて済みます。
このように、自己破産などとは異なり、担保などを設定していない場合には財産の処分を強制されません。すなわち、不動産や自動車を売却する必要がないということになります。
取引履歴の開示に応じない貸金業者に対しても、裁判所から文書提出命令を出すことが可能です。この文書提出命令は一定の強制力があります。
特定調停を利用しても、職業の制限を受けることはないため、職業に関わらず利用できる点もメリットといえるでしょう。
自己破産や個人再生の場合は官報に氏名が公表されますが、特定調停の場合はそのようなことはありません。また、特定調停の申し立てを行うと、貸金業者からの連絡は原則本人に行かなくなります。周りの人に知られたくない、という人にとってメリットのある方法といえるでしょう。
特定調停とは、借金の問題に特化した裁判手続きです。利用するために満たすべき要件があります。
続いて、特定調停のデメリットについて見ていくことにしましょう。
特定調停の申立は、貸金業者の所在地を管轄する簡易裁判所に対して行うことが原則です。申立人の住所を管轄する簡易裁判所という訳ではない点に注意が必要です。ただし、貸金業者の支店の所在地を管轄する簡易裁判所でも可能といったケースもあります。
決められた日に本人が裁判所に足を運ぶ必要があります。さらに、貸金業者との交渉は自分で行う必要があります。この部分は弁護士や認定司法書士が代理人として交渉を進める任意整理と大きく異なる部分となります。
特定調停は、貸金業者に対して和解を強要できるわけではありません。あくまでも話し合いを行うため、双方の合意が得られない場合には調停は成立とはなりません。ただし、裁判所が相当と認める場合には、双方の申し立ての趣旨に反しない範囲で「調停に変わる決定(17条決定)」を出すことも可能です。
参照:【判決と和解の中間的手続(裁定和解・17条決定・調停に代わる審判)】 | 企業法務 | 東京・埼玉の理系弁護士(https://www.mc-law.jp/kigyohomu/4610/)
特定調停では、大幅な減額ができない場合もあります。例えば取引年数が浅い場合、また元々の金利が低い借金などがそれに当たります。ただし、将来利息の免除や支払い計画の見直しを行うことにより、現状よりも返済は楽になるはずです。
双方が合意し、貸金業者と和解できた場合には調停調書の作成が行われます。この調停調書により、定められた返済を滞納すると債権者による強制執行手続きが容易にできるようになります。。
特定調停を行ったとしても、過払金を取り戻すことはできません。過払金が発生している場合には、別途手続きを行う必要があります。
「過払い金があるのでは」と考えている方は、過払い金返還請求が行える条件をチェックしてみましょう。
冒頭で説明した通り、特定調停を行った場合には信用情報機関に事故情報が登録されることにより、完済から5年程度は通常の借入や住宅ローン、自動車ローンなどの契約ができません。
特定調停後には住宅ローンの契約ができるのかという疑問にお答えしました。合わせて特定調停にまつわるメリットやデメリットについても紹介しましたので、あらかじめチェックしておくことがおすすめです。