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債務整理の方法はいくつかありますが、その中で特定調停と任意整理の違いを紹介します。自分に適した方法を選択するためにもどのような違いがあるのかを確認してください。
特定調停と任意整理の違いをご紹介します。どちらの方法が自分の状況に適しているかを考えながらチェックしていくことがおすすめです。
特定調停は法律に基づいて裁判所が行う裁判手続きであり、裁判所が関与します。このことから任意整理と比較して手続きが複雑になるという面があります。
対して任意整理の場合は、弁護士などが債務者の代わりに債権者と交渉するため、裁判所は関与しません(訴訟になった場合を除く)。このことから、弁護士などに相談して任意整理を依頼することにより手続きがすぐに開始されるといった点が特徴です。
そもそも特定調停とは?特定調停を利用するための条件を知っていますか?
特定調停も任意整理も、手続きが開始されると債権者からの取り立てが停止することは変わりません。しかし、停止するまでの期間について違いがあります。
特定調停を自分で行う場合には、まず特定調停の申し立てを行い、その後裁判所がそれぞれの債権者に対して特定調停の通知を送ると取り立てが停止されます。
対して任意整理を行った場合、弁護士に依頼するとすぐに債権者に対して受任通知を発送することにより取り立てが停止されます。このことから、債権者からの取り立てが停止する時期は任意整理の方が早いといえます。ただし、特定調停でも弁護士などに依頼する場合は、依頼したタイミングからそう変わらない時期に取り立てが停止されます。
任意整理の期間は、相談から合意までが3~6カ月。返済再開から完済まで3~5年と言われています。
特定調停の場合には、執行停止制度がある点が特徴です。特定調停とともに執行停止の申立を行うことにより、裁判所の決定により債権者が強制執行を行うことを止められるケースがあります。
対して任意整理の場合には強制執行を止めることはできず、交渉により強制執行の停止を依頼するに止まります。ただし、強制執行を行うためには判決などの債務名義が必要となることから、いきなり強制執行できるわけではありません。
特定調停を行った場合には、債権者と債務者の間で話がついた場合には調停調書が作成されます。この調停調書は裁判の判決と同様の効力を持っていることから、すぐに給料を差し押さえるなどの強制執行が行われる可能性があるといえます。
対して任意整理の場合は返済計画について和解契約を締結しますが、それを明らかにするための和解書を取り交わすことになります。この和解書は私的な書面であることからすぐに強制執行が行われるわけではありません。
特定調停の場合も任意整理の場合も、借金の減額幅については利息制限法の上限金利による引き直し計算によって減額が行われます。将来の金利については、任意整理の場合は基本的にカットできますが、特定調停の場合は金利がカットされないケースもあります。
また、特定調停の場合には調停成立までの遅延損害金が加算されることがありますが、任意整理の場合には、和解成立までの遅延損害金は原則として加算は行われません。
特定調停の場合には、過払い金が発生している場合でも調停の場で過払い金の請求を行うことはできません。これは、特定債務の調整のみを目的としている特定調停の特等によるものです。そのため、別途払い金について交渉や訴訟などを行う必要があります。
また、任意整理の場合には過払い金が発生していることが判明した場合には、過払い金の返還を請求することも可能です。
過払い金返還請求手続きを行うためには、返還請求が行える条件に当てはまっていることが必要です。
特定調停の場合には、原則として自分で手続きを行います。中でも申立書の作成は非常に手間のかかる作業のため、弁護士に依頼することによって代理人となってもらうことは可能です。
対して任意整理の場合には弁護士や認定司法書士に依頼する必要があります。弁護士や認定司法書士が代理人となり、債権者と交渉や合意書の取り交わしを行うことになります。
任意整理と特定調停の違いについて紹介してきました。さまざまな細かい違いがありますので、どちらの手続きが自分にとって適しているかを検討した上で選択していくことになりますが、どちらが良いか自分で判断できない場合には弁護士や認定司法書士(※債権額140万円以下の場合に限る)に相談するのがおすすめです。
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